カラオケ店の内装では、客層や営業スタイルに合った雰囲気づくりだけでなく、防音対策や客室の使いやすさ、スタッフの動線も考える必要があります。
この記事では、東京のカラオケ店のデザイン・内装事例を紹介するとともに、開業・改装時に押さえておきたい設計のポイントや内装会社の選び方を解説します。
個室型のカラオケ店と、客席やステージを共有するカラオケバーでは、求められる空間づくりも異なります。東京にある3つの店舗を例に、それぞれの内装の特徴を見ていきましょう。

新宿にある「LIVE LOUNGE TAKETORA」は、生バンドの演奏に合わせて歌えるカラオケBARです。客席はステージに向かってひな壇状に配置されており、後方の席からも歌う人や演奏の様子が見えやすい設計になっています。
ステージ背面や天井に設置されたLEDビジョン、鮮やかな照明、市松模様の床がライブ会場ならではの華やかさを演出しています。歌う人も聴く人も一緒に盛り上がれる客席配置と演出が特徴で、ステージ付きのカラオケバーを検討している方に参考になる事例です。

墨田区の「カラオケ ビッグエコー 錦糸町テルミナ店」は、飲食店との複合店舗として計画された事例です。店舗全体のデザインに統一感を持たせながら、個室ごとに異なるイメージを取り入れています。
共用廊下はグレーと白を基調に、扉まわりの黄色やオレンジがアクセントになっています。個室だけでなく、廊下にも色彩の変化を取り入れているのが特徴です。客室へ向かう通路まで含めて店舗の印象をつくりたい場合に参考になるでしょう。

六本木の「ブレスユー」は、明るく活気のあるカジュアルな空間をコンセプトに改装されたカラオケバーです。壁沿いのソファ席とテーブル席を組み合わせ、店内の中央には色とりどりの椅子を配置しています。
淡い色合いのソファと透け感のあるカーテンに、ピンクやオレンジの椅子を合わせた、親しみやすく華やかな内装が特徴です。家具の色や布の質感を生かして空間の雰囲気を変える工夫は、くつろぎやすさとカラオケバーらしい楽しさを両立させたい店舗の参考になります。
内装のデザインを考える前に、どのようなお客様が、何人で、どんな目的で利用する店舗なのかを整理しておきましょう。個室型のカラオケ店とステージ付きのカラオケバーでは、必要な設備や客席の配置も変わってきます。
個室型のカラオケ店では、利用人数に合った部屋の広さや、グループでゆったり過ごせる座席配置が大切です。一方、カラオケバーでは、カウンターで会話を楽しめることや、歌う人と客席の距離感、ステージの見やすさなども考える必要があります。
一人客や学生グループ、家族連れ、会食後の二次会利用など、主な客層によっても適した家具や演出は異なります。営業スタイルと利用シーンを先に決めておくと、店舗の雰囲気だけでなく、運営のしやすさも考えながら内装を計画できます。
高級感のある落ち着いた店舗にするのか、友人同士で気軽に盛り上がれる店舗にするのかによって、適した照明や壁・家具の色は変わります。参考写真を集める際は、配色だけでなく、光の当たり方や素材の質感にも注目してみましょう。
ただし、演出用の照明を重視する場合でも、入退室や飲食、忘れ物の確認、清掃に必要な明るさは確保しなければなりません。客室・廊下・受付で照明を使い分けたり、利用中と清掃時で明るさを切り替えたりする方法もあります。
モニターの位置は、壁面のレイアウトだけで決めず、ソファに座ったときの目線や画面までの距離を考えて設置しましょう。複数人で利用する部屋なら、端の席からでも歌詞が見えるか、立って歌う人が画面を遮らないかも確認が必要です。
選曲端末やマイクの充電器、音量調整機器なども、使いやすい位置に設置したいところです。家具と機器を配置した状態で、実際の利用シーンを想定してみると、飲食物を置くスペースや配線との干渉など、図面だけでは気づきにくい問題も見つけやすくなります。
客室を多く設けても、来店するグループの人数に合っていなければ、使いにくい店舗になってしまいます。想定する利用人数をもとに、通路や設備、防音工事に必要なスペースも考慮しながら、客室数と広さを決めていきましょう。
一人や二人での利用が多い立地と、宴会後のグループ利用が中心となる立地では、求められる部屋の大きさが異なります。新規出店の場合は周辺施設や想定する利用シーンを調べ、既存店の改装であれば、実際の利用人数や満室時にお断りした人数なども参考にしましょう。
小部屋と大部屋の割合は、客室数だけでなく、曜日や時間帯ごとの需要も踏まえて検討します。テーブルやソファを置いた状態で、予定する人数が無理なく座れるか、出入りに十分なスペースがあるかを確認することも大切です。
物件の床面積を客室数で割るだけでは、実際に使える部屋の広さは分かりません。防音壁や天井・床の構造、空調設備、配線スペースに加え、共用廊下や厨房、受付、トイレなどの面積も必要になります。
特に、既存の区画を細かく分ける場合は、防音壁を設置した後に、想定より部屋が狭くなることがあります。工事が完了した状態の有効寸法をもとに、家具の配置や人の動きを確認することが大切です。設計の初期段階から断面図も確認し、天井の高さに影響がないかもチェックしておきましょう。
個室が並ぶカラオケ店では、似たような扉が続き、自分の部屋が分かりにくくなることがあります。受付から客室、トイレ、出口までの移動経路を整理し、部屋番号や案内表示を見つけやすい位置に設置しましょう。
客室数を増やすために廊下を複雑にするのではなく、扉を開けた際に通行の妨げにならないか、配膳中のスタッフとお客様が無理なくすれ違えるかも確認が必要です。また、避難経路や誘導灯については、設計者とともに消防署へ確認しておきましょう。
カラオケ店では、室内で気持ちよく歌える音響環境と、隣の部屋や建物の外へ音が漏れにくい環境の両方が求められます。物件の構造や周辺環境を確認し、必要な対策を設計段階から検討しておきましょう。
遮音は、壁や扉などを通して外へ伝わる音を抑えるための対策です。一方、吸音は、室内で反射する音を抑え、響きを調整するために行います。そのため、壁に吸音材を取り付けただけでは、隣室や屋外への音漏れを十分に防げないことがあります。
内装会社に相談する際は、外への音漏れを防ぎたいのか、室内の音の響きを改善したいのかを具体的に伝えましょう。遮音と吸音は目的が異なるため、それぞれに合った対策が必要です。仕上げ材の見た目だけでなく、なぜその素材や工法を選ぶのかも確認しておくと安心です。
壁に十分な防音対策を施していても、扉の隙間や換気口、配管・配線が通る部分から音が漏れることがあります。客室と廊下の間だけでなく、天井裏やダクトを通じて隣室に音が伝わることもあるため、店舗全体で確認する必要があります。
なお、音漏れを防ぐために換気口をふさいでしまうと、必要な換気ができなくなります。換気設備と防音対策を両立できるよう設備担当者と相談し、扉や配管まわりの処理まで設計図や見積もりに含まれているか確認しましょう。
音は空気中だけでなく、床や壁などの建物の構造を通して伝わることもあります。特に低音やスピーカーからの振動は、店内での聞こえ方だけでは判断できません。上下階や隣の区画に住宅や静かな事務所がないかも調べておきましょう。
物件の構造や音量、営業時間などを内装会社や音響の専門業者に伝え、機器の設置方法や防振対策を検討します。また、工事完了時に、どこで、どのような条件で音漏れを確認するのかまで決めておくと、対策の効果を確認しやすくなります。
料理やドリンクを提供するカラオケ店では、厨房と客室の間をスタッフが何度も行き来します。日々の業務をスムーズに進められるよう、提供方法に合った厨房やドリンクバーの配置を考えましょう。客室の空調・換気や機器の配線も、あわせて計画しておく必要があります。
厨房から客室までの距離が長いと、注文のたびにスタッフの移動が増えてしまいます。厨房の位置を決める際は、給排水や排気設備の条件を確認しながら、各客室までの距離や料理を運ぶ経路も考えましょう。
また、配膳と下げ膳では運ぶものや作業する場所が異なります。完成した料理を受け取る場所と、使用済みの食器を戻す場所を整理し、混雑時に厨房前でスタッフが集中しないか確認しておきます。受付や客室清掃も含め、スタッフの一連の動きを図面上で確認すると、効率のよい動線を考えやすくなります。
ドリンクバーには、飲み物を選ぶ人や注ぐ人、グラスを取る人などが同時に集まることがあります。機器を設置できる広さだけでなく、利用者が並ぶスペースも確保し、客室へ向かう通路をふさがない位置に配置しましょう。
スタッフが氷や原料、グラスなどを補充する際の動線も考えておく必要があります。また、床が水滴で濡れたときに清掃しやすいかも確認しておきたいところです。客室の扉やトイレの出入口付近に人が集中しないよう、周辺のスペースにも余裕を持たせましょう。
間仕切りを設けて客室を増やす場合、既存の空調や換気設備をそのまま使えないことがあります。各部屋の利用人数や機器から発生する熱を考慮し、冷暖房の能力や給排気の経路、風が直接当たる席がないかを設備担当者と確認しましょう。
音響・映像機器についても、設置場所とあわせて電源やケーブルの配線経路を決めておく必要があります。防音工事と設備工事は別々に考えず、配線が壁などを通る部分まで含めて調整することが大切です。将来の機器交換や点検がしやすいかも確認しておきましょう。
カラオケ店では、お客様が入れ替わるたびに客室を清掃します。そのため、内装材や家具を選ぶ際は、見た目だけでなく、日々の掃除のしやすさも大切です。汚れの落としやすさや、傷んだ部分を交換できるかも確認しておきましょう。
カラオケの客室では、飲み物や食べ物による汚れのほか、靴や荷物、家具との接触による傷みも発生します。床材やソファを選ぶ際は、色やデザインだけでなく、汚れの拭き取りやすさ、耐久性、使用できる洗剤も確認しましょう。
傷んだ部分だけを交換できる床材や、張り替えが可能なソファも選択肢になります。ただし、掃除しやすい硬い素材を多く使うと、室内の音の響きが変わることもあります。清掃のしやすさと音響への影響を考えながら素材を選ぶことが大切です。
大きなテーブルや固定式のソファを設置する場合は、家具の下や壁際まで掃除できるか確認しておきましょう。家具の下にごみがたまりやすい構造だと、お客様の入れ替え時に掃除しきれず、定期清掃の負担が増えることがあります。
また、アンプや充電器を収納する場所には、熱がこもらないようにする工夫と、点検・交換に必要なスペースが欠かせません。機器を交換するたびに造作家具を解体しなくても済むよう、開口部や配線に余裕を持たせておきましょう。予備のマイクや清掃用品を置く場所も、あらかじめ確保しておくと便利です。
カラオケ店の内装費用は、店舗の面積だけでなく、客室数や防音工事の内容、既存設備をどこまで再利用できるかによって変わります。見積もりを確認する際は、総額だけでなく、どの工事が含まれているのか、どのような条件で算出されているのかを把握しておきましょう。
同じ床面積でも、個室を多く設ける場合は、間仕切り壁や客室の扉、照明などの施工箇所が増えます。また、必要な防音性能や建物の構造によっては、壁だけでなく床や天井にも対策が必要となり、工事費が高くなることがあります。
そのため、坪単価だけで他店の工事費と比較しても、自店に必要な予算は判断しにくいものです。客室数や広さ、求める防音性能などの条件をそろえて見積もりを比較することが大切です。予算を調整する場合も、防音など必要な性能に関わる工事と装飾部分を分けて相談しましょう。
カラオケ店の居抜き物件であっても、残っている壁や設備をそのまま使えるとは限りません。客室の配置を変更すると、空調や配線の工事が必要になることもあります。既存の防音性能や機器の劣化状況についても、現地調査で確認しておきましょう。
見積もりでは、再利用する設備、補修する設備、交換する設備を分けて記載してもらうと分かりやすくなります。また、設備の容量不足や隠れた不具合が見つかった場合、追加工事をどう判断するかも確認しておきたいところです。貸主と借主のどちらが管理・対応する設備なのか、管理会社とも共有しておきましょう。
カラオケ機器やモニター、スピーカーなどの費用が内装工事の見積もりに含まれるかどうかは、依頼先や契約内容によって異なります。内装会社とは別に機器を手配する場合は、取り付けや配線工事をどちらが担当するのかも確認しておきましょう。
複数の見積もりを比較する際は、設計料、内装・設備工事、機器、家具、撤去・処分費用など、含まれる項目をそろえることが大切です。また、機器を購入するかレンタルするかによっても、初期費用や継続費用は変わります。開業時に必要な費用と、営業開始後にかかる費用を分けて考えると、無理のない予算を組みやすくなります。
東京でカラオケ店の内装業者を探す際は、施工事例の写真や対応エリアだけでなく、自店の物件や営業スタイルに合った提案ができるかを確認しましょう。相談前に、業態や希望する客室数、予算、開業時期、物件資料などを整理しておくと、具体的な話を進めやすくなります。
カラオケ店の施工実績がある会社でも、大型の個室型店舗と小規模なカラオケバーでは、得意とする設計や工事が異なる場合があります。事例を見る際は、内装の雰囲気だけでなく、業態や面積、客室数、新装・改装の違いなども確認しましょう。
地下やビルの上階への出店、営業を続けながらの改装など、自店に近い条件での実績があれば参考になります。似た条件の工事でどのような課題があり、どう対応したのかを聞いてみると、その会社の経験や対応力を判断しやすくなります。設計から施工まで、どの範囲を担当したのかも確認しておきましょう。
内装会社によって、デザインや設計を中心に行う会社、施工まで一貫して対応する会社、専門業者と連携して設備工事を進める会社など、対応範囲は異なります。カラオケ店では、内装デザインに加えて、防音・音響・空調をどのように調整するかも重要です。
すべての工事を自社で行えるかどうかだけでなく、専門業者との連携体制や窓口となる担当者、責任範囲を確認しましょう。また、防音性能の目標や音響機器との調整方法、完成後の音漏れ確認まで説明してもらうと、安心して依頼先を検討できます。
テナント物件では、工事ができる時間帯や資材の搬入経路、設備を変更できる範囲などが、ビルの管理規約で決められている場合があります。物件資料や管理規約を内装会社に共有し、希望する客室数や設備を実現できるか確認してもらいましょう。
また、間仕切りの変更などによって、消防設備の移設・増設や届出が必要になることもあります。設計を確定する前に、消防署などへの相談が必要な項目と、その対応担当者を確認しておくことが大切です。必要に応じて建築や飲食提供に関する行政窓口にも相談し、手続きにかかる期間を開業スケジュールに組み込んでおきましょう。
見積もりを比較する際は、金額だけでなく、防音工事の仕様や設備工事の範囲、家具・機器の手配、完成後の確認作業などが含まれているかを見ましょう。「別途工事」と記載されている項目や、追加費用が発生する条件についても、契約前に説明を受けておく必要があります。
営業開始後に扉の不具合や音漏れ、空調のトラブルなどが発生した場合、どこに相談すればよいのかも確認しておきましょう。保証の対象や期間に加え、調査・補修の進め方も聞いておくと安心です。音響機器を別の会社から手配する場合は、それぞれの対応範囲を明確にしておきましょう。
東京のカラオケ店には、映像や照明でライブ感を演出する店舗、個室や廊下に鮮やかな色を取り入れた店舗、家具やカーテンで明るく華やかな雰囲気をつくる店舗など、さまざまなデザインがあります。まずは自店の営業スタイルに近い事例を参考に、取り入れたい要素を整理してみましょう。
一方、実際の店舗づくりでは、デザインだけでなく、客室の広さや数、防音対策、配膳動線、清掃のしやすさ、設備のメンテナンスなども考える必要があります。物件の条件や営業スタイルを理解し、それに合った提案をしてくれる内装会社を選ぶことが、使いやすく快適な店舗づくりにつながります。
当メディアでは、実現したい空間に合わせて東京の店舗デザイン会社を紹介しています。希望する店舗のイメージが固まってきたら、各社の施工事例や得意分野、対応範囲を比較してみてください。
東京エリアで店舗デザイン・内装設計に対応しているおすすめの会社を事例の多い空間別に厳選しました(※)。
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※東京エリアの事例数は各社公式サイトの掲載情報を基にした編集チーム調べ(2026年1月15日時点)